一つの商品ができるまで

レストラン商品編

歴史に甘んじることなく、さらなる挑戦を!
~名古屋松坂屋店 新メニュー企画・開発プロジェクト~

長年にわたり人気を博する定番メニューをはじめ、旬の食材をたっぷり使用した季節のメニュー、特定の店舗のみでお楽しみいただける個店メニューなど、様々な美味しさを提供している銀座アスター。新たな料理はどうやって生まれるのか? その過程をご紹介します!

K.Kさん

営業企画グループ
グループマネージャー
2003年入社

2003年、総合職で入社。営業としてレストランサービスの経験を重ね、2007年より店長就任後、新店立ち上げプロジェクトにも携わる。2021年に本部の営業企画グループに異動。商品の企画・開発や宣伝・PRなど幅広く携わっている。
※プライバシー保護のため姓名はイニシャルで表記しております。
※本インタビュー記事は2024年1月現在の内容です。

2023年の夏、銀座アスター名古屋松坂屋店が移転することに決まりました。単なる引っ越しではなく、店舗の在り方そのものが変化する一大プロジェクトです。企画・開発担当者たちによる新たな挑戦がスタートを切りました。

名古屋松坂屋店の移転のニュースが企画・開発担当者たちのもとに飛び込んできたのは、2023年の夏のこと。同じ松坂屋内とはいえ、デパ地下の北館地下のレストランフロアから本館9Fのレストラン街への移転です。単なる引っ越しとは異なり、リニューアル一大プロジェクトでした。これまでは地下のレストランフロアだったので、お買い物ついでに気軽に立ち寄ってくださるお客様が多かったのですが、レストラン街となるとお買い物ついでにではなく、お食事を目的にいらっしゃるお客様がほとんど。客層やピークタイム(混む時間帯)、人気を集めるお料理や客単価など、あらゆることが変わってくると考えられるため、新店舗にふさわしいメニューやオペレーションを新たに作りあげていくことになりました。

リニューアル後の名古屋松坂屋店

これまで長年にわたり中国への視察を重ねてきたことが示すように、銀座アスターは「現地視察」というものを非常に重視しています。その姿勢は、国内での店舗開発や移転、商品開発などにおいてもしっかり貫かれています。

2023年10月、企画・開発担当者たちは視察のために名古屋に向かいました。自分たちの目で現地のお客様の流れを確認し、自分たちの舌で現地の食材を味わいながら、生きたマーケティングデータを蓄積していくためです。視察のポイントはインターネットで調べても出てこない『生の情報』を知ること。特に時間を割いたのは、移転先のレストラン街の客足などを調査することと、現地で人気を集める食材や料理を調査することでした。レストラン街では、まるで調査会社が行う交通量調査のような感覚でフロアを行き交うお客様の数を時間帯ごとにカウントし、客層などと併せてデータ化していきました。さらに食材や味の調査については、中国料理店だけでなく、名古屋ならではの食材や料理を扱う様々なジャンルの飲食店に足を運びました。

今回のメニュー開発プロジェクトが立ち上がった瞬間から、企画・開発担当者たちは様々なアイデアを蓄積し続けていました。現地視察を通じて、それらのアイデアが実現に向けて動き出しました。

現地視察を通じて様々なものが浮かび上がってきました。そのひとつが移転先の客層です。特に目についたのは、女性のお二人連れでした。ちょっぴり贅沢なランチを楽しむお母さんと娘さん、といったお客様のイメージが湧き上がってきましたね。さらに、メニューのヒントとなる食材なども絞り込めてきました。実は、私たち企画・開発担当者は視察に出向く前から『名古屋といえば』という食材や料理についていくつかの仮説を立てていたのです。例えば、食材なら『名古屋コーチン』、料理なら『あんかけ料理』『ひつまぶし』、調味料なら『八丁味噌』といった感じで、いくつかのイメージを持って現地入りしたんです。それらがどのように提供されているのか、どれだけお客様に愛されているのかを確認でき、非常に大きな収穫になりました。

名古屋視察が終わった瞬間から、メニュー開発は急ピッチで進んでいきました。東京に戻った企画・開発担当者たちの中には、既に新メニューのイメージが固まっていたのです。

東京に戻った私たちは、すぐに意見を摺り合わせ、試作に取りかかりました。『名古屋コーチン』『あんかけ』など、名古屋ならではの特色を取り入れた新しい味が続々と形になっていきました。味付けとして着目した『八丁味噌』については、1958年に誕生したオリジナル醤『アスター麺醤』が八丁味噌をベースにしていることにスポットを当て、濃厚で奥深い味わいを活かした『アスター醤』として、名古屋風の味を作りあげていきました。試行錯誤を繰り返して…といったほうが話的には盛り上がるのかもしれませんが(笑)、実はあまり迷わず『これだ!』という味が決まっていきました。私たち企画・開発担当者は店長や調理長として経験を重ねてきた人間ばかりなので、何をどうしたらどういう味になるかというイメージの共有ができるんです。プロパー社員のみで構成される銀座アスターならではの強みと言えるかもしれませんね。

ついに、銀座アスターにとって初めてとも言える新メニューが出揃いました。率直な意見が飛び交う社内試食会を経て、プロジェクトはいよいよ大詰めを迎えます!

2023年12月、試作品が出揃い、社内試食会が行われました。社長をはじめとする役員陣たちが『名古屋コーチンの卵とじ炒めかけご飯、陶板仕立て』『回鍋肉、アスター醤仕立て』『黒豚と白菜のアスター醤春巻』『名古屋コーチンのソテー』など6品を味わい、意見を交換し合ったのです。「今回のメニューは、銀座アスターとしては初めてと言えるほど『ご当地感』を強く打ち出したもの。様々な意見が飛び交いましたが、最終的にはGOが出てほっとしましたね。これだけ長い歴史を重ねてきた会社でありながら、新しい挑戦を歓迎してくれる。そんなところも当社の魅力のひとつです。新メニューの決定後、プロジェクトは大詰めを迎えます。名古屋松坂屋店のメンバーへの商品教育、新店舗でのオペレーションの構築、営業に必要な販促物の準備、そして発売後のブラッシュアップ…。私たちの挑戦は続きます!

回鍋肉、アスター醤仕立て

黒豚と白菜のアスター醤春巻

名古屋コーチンの卵とじ炒めかけご飯、陶板仕立て

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